神様に目をかけられた画家 堀田高

去年の秋、友人が真鶴にある 堀田高洋画館  に車で連れていってくれました。

友人は数年前、台風の時期にこの美術館に訪れた際、ひどい天気にもかかわらず、入口に入った瞬間、この建物と目の前に広がる海を目にし、舞い上がったと言っていました。

それを常々聞いていたのでこの美術館に行くことは楽しみにしていました。

 

 

画家の堀田高氏は、数年前に亡くなられたとのことで、奥様さんが一人でこの美術館を切り盛りされています。

この日は私たちの他に一人先客がいました。
奥様が、「まぁ、どうしましょう。今日はこんなにもたくさんお客様が来てくださるなんて、なんて素敵な日なのでしょう」

と、大歓迎で出迎えてくれます。

玄関を開けると、海あります。
それも湖のような静かな海。

 

 

 

 

そして広い敷地に印象的な一本の大きな木。

友人が言っていたように、この海のある静かな景色と建築と周りの別荘のようなたたずまいは、雨が降ろうが嵐がこようが、天気に左右されることはなく、いつでも明るく穏やかに過ごせそうな土地柄です。

 

この景色はやばい。ここで暮らしたい。

 

この景色を見て、思わず先客と会話をしたのですが、その方は真鶴に住んでおられ、初めてこの美術館に訪れたそうで、
「同じ真鶴に住んでいる者として、この景色には嫉妬する」とおっしゃっていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

館内の絵を一通り鑑賞した後、奥様がキッチンでお茶を入れてくださって、お話をいろいろと聞くことができました。

堀田氏はサラリーマン時代に元女優の奥様と出逢い結婚。
それからしばらくたって思いもよらないことに、堀田氏は画家になりたい、南仏に行きたいとおっしゃったそうです。

そして南仏で家を購入し、画家として油絵を描き、絵を売って暮らしてきました。
家の敷地には大きなミモザの木があり、堀田氏は静物画だけでなく、ミモザの木をたくさん描きました。

40年後日本に帰ることになり、南仏に似た風景の場所を探していた時に、この建物に出逢ったそうです。

 

 

 

 

この建物はある実業家が建て、その後医者に渡り、そしてその後堀田夫婦が購入しました。

奥様がおっしゃっていた印象に残っている一言。

 

 

「この建物を見に来て驚いたのが、南仏の家と同じように庭にミモザの木があったこと。

神様も粋なことなさるわね。」

 

 

この建物の広い敷地は芝生で覆われていて、その中にポツンと大きなミモザの木が一本あります。
そしてその向こう側に海。

南仏で長年暮らしていたご夫婦が、また日本で南仏に似た環境を手に入れる。

ミモザの木って日本ではメジャーではないと思います。
日本で静かな海、美術館になる建築、ミモザの木をまとめて手に入れるなんて奇跡です。
なんともうらやましかった。

今後も神様は自分には粋な計らいはなされないと思うので、私はどさまわりして、庭木を見つけて自力で植えますけどね。

 

 

また、奥様は

「この建物以外で個展を開いたことはあるけれど、海が見えて光が入るこの場所以上のところはない」ともおっしゃってました。

絵は油絵で、ラウル・デュフィのように明るい色彩で、そして穏やかと柔らかさが見てとれ、堀田氏の人柄が感じとれます。

 

この洋画館で飾るのがやはり一番だと思いましたし、

環境に選ばれし絵画かなと。

 

堀田高洋画館

神奈川県足柄下郡真鶴町真鶴1414
開館日 毎週 土・日・月曜日 11:00~16:30
入場無料
0465(68)5032

 

 

comment

  1. Nobu より:

    コメントありがとうございます。
    海に近いところなので、風は大丈夫でしたでしょうか。
    昔、友人が台風の中こちらの美術館に訪れたところ、
    雨、風、関係なく素敵なところだったと言っていたのを思い出しました。
    堀田高さんの絵と美術館の建物で南仏と、素敵な奥様との暮らしぶりが感じ取れるかと思います。

  2. かず より:

    今、新幹線の中です。
    これから、東京に向かいます。
    台風が来るかなと思い、一日早く上京します。
    何気なく目にしたブログでしたが、
    真鶴にいって見たくなりました。
    東京に着いたら、堀田高さんの絵に逢いにお伺いします。

  3. Nobu より:

    堀田さま、

    コメントありがとうございます!!
    静かに感動をしております。

    私のブログはアクセス数が非常に少なく、ひと知れず記事を書いておりましたので、
    誰かのアクションのきっかけになるとは思ってもみないことでした。

    しかも、自分とは全くの別世界に住んでおられる美術館の奥様からうれしいコメントをいただくとは。
    しみじみと感じいっております。

    おととし美術館に訪れた時は、たぐいまれな景色と現代建築と自分好みの油絵に魅せられ、また、奥様のやさしさにも甘え、
    のらりくらりと2時間以上は居座っておりました。

    デッキに体育座りをし、日が暮れる様子を見たりして、素敵な時間を過ごさせていただきました。

    遅い時間になってもなお、去りがたいほどの環境でした。

    ここでの数時間の滞在は、別の友人になぜか自慢したりして、語りぐさのようになっております。

    台風でシンボルツリーのミモザが倒れたとのこと、、とても残念に思います。

    ですが、今度奥様が選ばれる木に注目させていただきます。

    美術館に訪れた多くの方が、再訪されるとお伺いしましたが、私も当然再訪は考えておりました。

    訪れた際は、恥ずかしいですが、声をかけさせていただきます。

    コメントありがとうございました。

  4. 堀田昭子 より:

    堀田高洋画館について温かいお言葉をいただき、嬉しう存じます。近頃あなたのブログを見た方々が来館するようになり幸せです。台風15号で大木のミモザが倒されましたが、四月には色も吟味して良い若樹を植えたいと存じます。暖かくなったらお出かけ下さい。そしてお声をかけてくださいませ。堀田昭子