東京オペラシティアートギャラリーで開催していた今津景の《Tanah Air タナ・アイル》を見てきました。
絵画だけでなく彫刻もあり、変化に富んでいました。
骨や骸骨、人体の一部が多いのは、彼女が住んでいるインドネシアの神話をモチーフにしているからです。
インドネシア・セラム島の神話「ハイヌウェレ」 2023
神話の「ハイヌウェレ」とはココナッツから生まれた女性で、自分の排泄物から異国の金や陶磁器など財宝を生み出す力を持っていました。
セラム島の人々は始めは彼女の財宝をありがたく受け取っていましたが、次第に彼女に不気味さを感じ、神秘的な力を恐れ、村の祭りの最中に彼女を生き埋めにします。
後に彼女の遺体を部位ごとに切断し土地に埋めると、そこからタロイモ、里芋が生えてきて、セラム島の人々の主食になったという話しです。
「ハイヌウェレ」神話は地元住民の外国人に対する恐れや抵抗に由来しているそうです。
この企画展をホームページでチェックした時は、骨やら骸骨が多くエキセントリックに感じたので、行かないつもりでいましたが、自分が日頃参考にしているアートウォッチャーの方の投稿に、逸品揃い、と書かれていたのを見て、慌てて最終日に行ってきたのでした。
本当に逸品揃いでした。
絵画だけでなく、彫刻も手がけるアーティストが増えてきた気がしますが、やはり彫刻がある空間はいいなと思いました。アーティストの世界観が補完されますし。
今の時代、没入体験型展覧会が急増しているので、彫刻もあると、より注目されやすくなるように思います。
<つづく>
東京オペラシティアートギャラリー
東京都新宿区西新宿3-20-2
今津景《Tanah Air タナ・アイル》
2025/01/11-03/23
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