リビングに25年ほどに前、家具蔵さんに制作していただいたデスクがあります。
依頼した段階では足元が吹き抜けている、いわゆる一般的なデザインでお願いしていましたが、納品されたものは違っていました。
制作段階で転倒防止のためということで裏一面に板が張られ、足元も重しのように重い壇が取り付けられ、依頼した時とデザインが違うものが納品され落胆したのでした。
メールがなかった時代ですけど、デザインを変えるなら一言連絡が欲しかったと伝えましたが、もう納品されたものはしょうがないです。。
デスクに転倒防止の対策をするのにここまでやるのか、と何か解せぬ思いでそのチェスト風になってしまったデスクを眺めていました。
しかし、その数年後、リビングの断捨離を決行し、他の合板の食器棚、ピアノ等大型家具を取り除き、余計なものをそぎ落としていくと、この古びた家の中で家具蔵さんの重厚なデスクが活きてきました。
チェリー材で、今では飴色に変色しています。
そして、取っ手の細部に目をやると、造り手の確かな技術が見てとれます。
リビングに職人技が効いた家具を置くと、部屋が締まります。
結局このデスクは、リビングの顔になりました。
このデスクに合う椅子がほしい。
この時学んだのは、デザインやサイズの多少の違いなどはまったく取るに足らないことで、よい材質と職人の確かな技術が効いた意匠があれば、家具注文は十分成功なのだということでした。
家具については Simple is best. と一様に言えないものがあると思います。
意匠があることにより、素人は職人技を見ることができます。
ただの古びた家が、そうではないようにしてくれるのが、意匠付き家具なのではと思います。
家具蔵 自由が丘店
東京都目黒区自由が丘3-7-5
TEL:03-3723-6111
営業時間 10:30~19:30 無休
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